父が亡くなり、両親が住んでいた家と土地の名義変更が必要なりました。A市役所で、死亡届を提出したときに「相続登記に用意していただくもの」という法務局の文書をもらい、司法書士に頼まず自分で相続登記をすることにしました。 今回の例は、被相続人が父、相続人が母、息子の私と娘の妹は相続しない場合です。息子の私が代理人として手続きをしました。(2017/2/1) |
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登記に必要な書類 | |
① 被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本(除籍、改製原戸籍、等) ② 被相続人の戸籍の附票又は住民票の除票(「本籍」が記載されるように請求してください。 (※被相続人の登記簿上の住所と本籍が同一の場合は不要です。) ③ 相続人全員の戸籍謄本又は抄本(被相続人が死亡後に取得したものが必要です。(相続されない方も必要です) ④ 相続人の住民票(本籍が記載されるように請求してください)又は戸籍の附票 ⑤ 相続する不動産の固定資産評価証明書(又は納税通知書、名寄帳等の「固定資産税の評価額」が記載されているもの) ⑥ 法定相続によらない場合 □ 遺産分割協議書(各人の印鑑証明書を添付) □ 遺言書 □ 特別受益証明書(各人の印鑑証明書を添付) □ 相続放棄申述受理証明書(※相続放棄申述受理通知書は不可) ⑦ 登記申請書 ⑧ 相続関係説明図 ⑨ 登録免許税(収入印紙で納付)(⑤の「固定資産評価額」で計算します。) ⑩ 委任状(相続人が登記申請を委任される場合) ⑪ その他、事案により上記以外の書類が必要な場合があります。 ※ 登記申請の際は、相続される方(代理申請の場合は代理人)の印鑑を持参してください。 ※ 上記⑧の相続関係説明図を添付すれば戸籍謄抄本(上記①、③)は登記完了後にお返しします。(コピー不要) ※ 上記②、④、⑤(登記専用に発行された評価証明書は除く)、⑥の書類で原本の返却を希望される場合は、原本とコピーを提出してください。登記完了後にお返しします。 ※ 登記申請書はA4版の用紙を横書きで作成してください。 |
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書類作成上の覚え | |
① 被相続人の戸籍謄本 ・ 出生から死亡に至るまでに、本籍がB県C町からB県D市に異動したため、C町、D市の戸籍担当課に、郵送で戸籍謄本を請求する。それぞれ市町のホームページに、請求方法が記載されているので、それを参照した。請求書、本人確認書類(運転免許証の写)、郵便局の定額小為替、返信用封筒を入れて請求した。 ・ 戸籍謄本の1通450円と書いてあったので、450円の定額小為替を入れて請求したところ、C町、D市ともに、すぐに電話がかかってきて、「料金が足りません」とのことだった。450円は現在の戸籍謄本をとる場合の手数料で、過去のものには、除籍や改製原戸籍があることがわかった。また、C町からは、住所が違うと言われた。戸籍謄本をとる場合は、直近の戸籍謄本(D市)から請求し、過去にさかのぼっていく必要があった。どちらも事前にそれぞれの市町に、出生から死亡までの戸籍謄本をとるのに、手数料がいくらになるか聞いておく必要がある。 ・ 定額小為替には、50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円 、1,000円の12種類がある(H29.1現在)。それぞれ1枚につき、購入時に手数料が100円かかる。換金時には、手数料はかからない。D市は、大きい市だったので、多めに定額小為替を入れれば、おつりを定額小為替で送り返すということだったが、C町は、ぴったりの金額の為替が必要だった。定額小為替の宛名は無記名で送り、換金時は自分の住所・氏名を書いた。 ② 被相続人の住民票の除票 ・ 被相続人の住所地の市役所で取得した。 ③ 相続人全員の戸籍謄本 ・ 母、私、妹の戸籍謄本を準備した。 ④ 相続人の住民票 ・ 母の住所地の市役所で取得した。 ・ 本籍地の記載が必要。 ⑤ 相続する不動産の固定資産評価証明書 ・ 相続人の住所地の市役所で取得した。 ⑥ 遺産分割協議書 ・ 母、私、妹の自署、実印を押す。 ・ 実印は、協議書に「実印」と書いてある上に押すと見にくくなるので、この場合は、横に捨印が必要のようだ。協議書を作るときに、実印の表記はなくてよい。 ・ 3人の印鑑証明書を用意した。 ・ 不動産の所在、地番、家屋番号の表記が違っていた。以下のように訂正された。 (住所:○○市大字○○字○○2番地34 の場合) 不動産 所 在 ○○市大字○○字○○ 地 番 2番地34 →2番34 地 目 宅地 地 積 ○○○.○○平方メートル 所 在 ○○市大字○○字○○ →○○市大字○○字○○2番地34 家屋番号 2番地34 →2番34 種 類 居宅 構 造 木造かわらぶき2階建 床 面 積 1階 ○○.○○平方メートル 2階 ○○.○○平方メートル ※登記済証か登記簿謄本があると宅地と居宅の所在の違い、地番・家屋番号に番地と書かないことが表記されているようです。 ⑦ 登記申請書 ・ 相続人の印はいらなかった。代理人の印だけでよい。(相続人が申請人の場合は、相続人の印が必要) ・ 印は、認め印でよい。 ・ 今回は、すべての原本還付を希望し、代理人が申請したので、 添付情報 登記原因証明情報(原本還付)、住所証明情報(原本還付)、代理権限証書 と直された。 ⑧ 相続関係説明図 ・ 相続する人には(相続人)と表記し、相続しない人には(分割)と表記する。 ・ 相続人、分割人ともに、出生日と住所を記入する。 ⑩ 委任状 ・ 母の実印を押した。 ※ ⑥~⑩は、保存の関係で、レーザープリンタで印刷する必要がある。そうでない場合は、コピーしたものを提出する。 |
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登記相談 | |
法務局で行っている登記相談を前日の朝申し込んだ。このときは、「一番早いので9:30からです」と言われたので、9:30からでお願いした。 登記相談当日、9:15分ぐらいに法務局に着いたが、すでに5~6人が待っていた。たぶん予約していない当日受付のようだった。相談コーナーは、A~Cの3か所あって、B・Cは始まっていた。Aの相談員に声をかけると、「9:30からだけど座って待っていて」と言われ、Aの相談コーナーの椅子に座った。9:30少し前に、「時間前だけど始めよか」と書類の点検をしてもらった。 上記に書いた「書類作成上の覚え」は、登記相談でチェックされたところ。チェック箇所は、付箋が貼られ、訂正場所を教えてくれた。実印は、3人全員分持って行ったので助かった。登記済証か登記簿謄本があると完璧だったが、それは忘れてしまった。⑦~⑩以外のすべての原本還付を要望したので、①~⑥は、すべてコピーを持って行った。⑧があれば、①~④のコピーはいらなかったようだ。(念には念のため)原本還付は、郵送を希望した。郵送は、本人限定受取という送付方法のようで、重さを量ってもらったら780円かかるということだった。時間がかかったのは、コピーしたものの原本証明で、「これは原本と相違ありません」というゴム印を一番上のコピーしたものの下に押してもらった。その下に、代理人である私のサインと印を押し、残りのコピーを1枚ずつ真ん中あたりで折って、契印を押していった。 最終段階で、収入印紙と切手を1階の売店で買ってくるように言われ、買いに行った。それをもって再度Aコーナーに戻り、すべての書類をそろえてもらい、受付に提出した。登記相談は、約50分ほどで終わった。 約1週間で、書類のチェックが終わり、登記が完了するようだ。問題があれば、電話がかかってくるとのこと。 登記相談は、1人20分と書いてあったが、電話予約のスケジュールは、1人1時間とってあったので、しっかり見てもらえた。B、Cコーナーの人は、何だか慌ただしそうだった。 |
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【感想】 相続登記は、それほど難しいものではない。しかし、絶対に提出時には、登記相談を申し込むべき。それも予約をした方がよい。 平日に時間がとれる場合は、自分で挑戦すべき。いい経験となった。 |
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D市に祖父から父が相続を受けた田舎の家屋、土地の相続登記に挑戦しました。A市の相続登記がすんなりいったので、準備万端で、登記相談に行ったところ、数々の壁にぶつかり、一発合格はできませんでした。(2017/3/10) | |
書類作成上の覚え | |
○ 固定資産評価証明書 評価証明書の交付を受け、登記相談に行ったところ、次のような指摘を受けた。 ・ 登記地目が原野(現況:堤塘敷)となっているところが2か所あり、評価額が0円になっていた。固定資産税を算出する際にはこれでいいが、登記をする場合は、「近傍類似等の評価をしてもらう」必要があるとのことだった。登記上は、0円ではダメで、そもそも登記をするときに「法務局へ提出する証明書」をもらってこなければいけないことがわかった。再度、D市役所で、「法務局で、近傍類似等の評価が入った証明書をください」というと、作ってくれ、さらに無料とのことだった。最初に固定資産評価証明書の交付を受けたときは、4枚あったので1200円もとられたが、はじめから法務局へ登記するための固定資産評価額通知書をもらえば、無料で交付されることがわかった。近傍類似等の評価は、備考欄に「近傍類似山林28円/m2堤塘敷の評価は山林の400%である」と書いてあった。 ・ 物置と車庫が、家屋なのに、地番は書いてあるが、家屋番号が書いていなかった。これは、未登記であることが分かった。未登記のものは、遺産分割協議書には書くが、登記申請書には書いてはいけなかった。未登記の場合、担保や処分の時に困るというアドバイスを受けた。 ○ 地番にカタカタが入ったもの ・ 固定資産評価証明書で、地番が「ケ226」と「テ226」となっているところがあった。登記地積=課税地積(ケ226)+課税地積(テ226)になっており、この場合は、登記上は分ける必要はなく、226番で書けばよいということだった。1地目1登記で、ケは現況地目が「原野」、テの現況地目が「田」となっており、226番を分筆したためにこうした表記になっているということだった。 ○ 書類の重ね方 ① 登記申請書 ② 遺産分割協議書 ③ 相続関係説明図+遺産分割協議書のコピー+相続人全員の印鑑証明書コピー+被相続人の除票+相続人の住民票コピー+固定資産評価額通知書コピー ④ ③のコピーしたものの原本 ⑤ 被相続人の戸籍謄本の原本、相続人全員の戸籍謄本の原本(③の相続関係図を提出すると、原本は返却される) |